日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.6 (2014)

表題:
産業へのオゾンの利用技術[12] 食品工場のオゾン殺菌
著者:
内藤茂三(食品・微生物研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.6,pp.317-323(2014)

食品工場に用いられる環境殺菌剤には,エチルアルコール系,次亜塩素酸ナトリウム系,オゾン系,過酸化水素系がある。それぞれ特徴があり,殺菌機構が異なるために得意とする微生物が異なる。オゾン系と過酸化水素系は従来の殺菌剤とは殺菌機構が著しく異なるため最近注目を浴びてきた。オゾン殺菌ではオゾンは微生物の細胞壁等の表層を構造的に破解し,あるいは分解することにより酵素不活性化し,核酸を不活化する等のマルチポイント攻撃による。オゾン殺菌は溶菌と呼ばれ細菌の細胞壁の破壊や分解によるもので,塩素が細胞膜を通して酵素をワンポイント攻撃する機構とは異なる。オゾンはグラム陰性細菌や乳酸菌等により工場汚染が進行する食品工場では環境殺菌剤として用いられている。特にグラム陰性細菌や乳酸菌等の汚染の多い,水産加工工場の環境殺菌にオゾンは多く用いられている。食品工場の微生物汚染の多くは薬剤に対して抵抗力の多いグラム陰性細菌や乳酸菌等であるのでオゾンは有効であると考えられる。

Key words:
オゾン/過酸化水素/環境殺菌剤/乳酸菌/グラム陰性細菌/無菌充填包装/水産練り製品/削り節/充填豆腐/木綿豆腐.