日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.12 (2013)

表題:
感染症の現状と展望[3] 薬剤耐性菌と感染症
著者:
小林寅喆(東邦大学医学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.12,pp.675-683(2013)

抗菌薬が人類の健康に大きく貢献した薬剤である一方,生物学的な宿命により耐性菌を生み出したことも事実である。人類は社会と科学の発展とともに次々に新しい抗菌薬を開発し,その度に耐性菌を制圧してきたように思えたが,近年ではその開発速度が鈍化し,その一方で新たなる耐性菌が生じ,世界の医療現場を脅かしている。
耐性菌は医療施設における不適切な抗菌薬の使用による生物学的選択から,メディカルツーリズムなど国を超えた医療行為や,人々の広範囲な移動によって急激に拡大している。また,従来わが国では検出されなかった新興耐性菌による輸入感染症への対策として,国を超えた連携が必要とされている。各種耐性菌の蔓延・拡散には抗菌薬の使用が関係していることは明らかであり,世界規模での抗菌薬適正使用が望まれている。
本講座では「薬剤耐性菌と感染症」として,近年臨床現場において新たに問題視されている抗菌薬耐性菌と感染症およびそれらを取り巻く世界的環境について解説する。

Key words:
グローバルリスク/抗菌薬/耐性菌/MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)/CA-MRSA(community-acquired MRSA)/β-ラクタマーゼ/ ESBL(Extended-spectrumβ-lactamase)/ MBL(Metallo-β- lactamase)/ MDRP(Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)/MDRA(Multidrug-resistant Acinetobacter).