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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.10 (2013)

表題:
産業へのオゾンの利用技術[1] 水処理のオゾンの利用
著者:
山田春美(関西オゾン技術研究会,元京都大学助教授)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.10,pp.559-565(2013)

古くから水処理に用いられているオゾンについて,その反応と処理特性について概観した。 水中の溶存オゾンは急速に自己分解し,酸化力の強いヒドロキシルラジカル(HO・)を生成する。したがってオゾンによる有機物分解はオゾンによる直接反応とオゾンの分解によって生成するHO・による間接反応の2経路からなる。オゾンと有機物の反応は選択性であるが,HO・と多くの有機化合物との反応速度定数は109~1010(1/M・s)と拡散律速に近い範囲にある。 除去目的物質がオゾンと反応性が高い場合は問題ないが,HO・としか反応しない場合,溶存有機物や炭酸等の共存物の影響を把握する必要がある。また,BrO3のように望ましくない副生成物の生成を抑える処理操作が重要である。 溶存オゾン濃度を指標とし,初期オゾン消費量までのオゾン処理や過酸化水素併用によって,効率が高く,かつリスクが制御可能な処理条件を使い分けていく必要がある。

Key words:
Ozone treatment(オゾン処理)/ Hydroxyl radical(ヒドロキシル ラジカル)/ Dissolved ozone(溶存オゾン)/ Self-decomposition(自己分解)/ Radical scavenger(ラジカル捕捉剤).