日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.5 (2013)

表題:
前培養の温度条件が微生物の活性炭への付着に及ぼす影響(ノート)
著者:
冨田和寿,菊地幹夫,澤井 淳(神奈川工科大学応用バイオ科学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.5,pp.245-248(2013)

食品に対する微生物の付着に関する基礎データを取得するために,疎水性表面を有する食品のモデルとして活性炭を使用し,前培養温度が細菌の活性炭への付着に及ぼす影響について検討した。供試菌(Escherichia coliSalmonella entericaKlebsiella pneumoniaeStaphylococcus aureus)は15,20,37℃で前培養(24時間)した。細菌懸濁液を活性炭を含む生理食塩水に分注し,10,25,30℃で付着を開始させた。前培養温度は供試菌の細胞表面疎水性を変化させたが,細胞表面疎水性は活性炭への付着に影響を及ぼさなかった。鞭毛の有無は明らかに活性炭への付着に影響を及ぼし,鞭毛を持つE. coliおよびS. entericaは鞭毛を有さないK. pneumoniaeおよびS. aureusよりも付着量が多かった。E. coliは付着温度の上昇に伴い付着量が増加した。一方,高い運動性を示したS. entericaの付着量は付着温度の影響を受けなかった。

Key words:
Microorganism(微生物)/Preincubation temperature(前培養温度)/Cell surface hydrophobicity(細胞表面疎水性)/Flagella(鞭毛)/Motility(運動性).