日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.2 (2013)

表題:
文化財の生物被害の現状と対策[11] 臭い化合物による汚染微生物の検出技術の開発
著者:
鈴木孝仁(奈良女子大学研究院自然科学系生物科学領域),木内正人((独)産業技術総合研究所関西センター),竹内孝江(奈良女子大学研究院自然科学系化学領域)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.2,pp.93-97(2013)

文化財をはじめヒトの生活環境も含めたカビによる被害を防ぐには,早期にカビ発生をモニタリングができることが重要となる。カビの二次代謝産物のうち,揮発性物質として放出される臭い化合物(MVOCs)を検出すると,カビの菌種の同定や成長段階を推定することが可能である。固相マイクロ抽出法とガスクロマトグラフィー・質量分析計を組み合わせることで,カビの検出手法を確立した。またイオン・モービリテイ・スペクトロメトリなどの他の手法についても紹介する。ところでカビの臭い化合物には,成長抑制や分生子成熟促進といった生理活性を示すものも判明した。今後カビの臭い化合物の有する生理的・生態的役割が明らかにされれば,カビの成長制御にこうした化合物を利用する技術開発も可能である。

Key words:
Microbial volatile organic compounds (微生物由来揮発性有機化合物)/Contaminating microbes (汚染微生物)/Cultural properties(文化財)/GC/MS (ガスクロマトグラフィー・質量分析計).