日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 40, No.11 (2012)



表 題 文化財の生物被害の現状と対策[9]
博物館・美術館の室内汚染と微生物
著 者 佐野千絵((独)国立文化財機構 東京文化財研究所)
掲 載 防菌防黴,Vol.40,No.11,pp.723-728(2012)

資料保存の原則は,修理の頻度を下げるよう保存環境を整えて,総体として資料を残すことである。カビの制御は相対湿度を下げ,胞子の除去性能のある高性能フィルターによる空気清浄と,文化財周囲の除菌性能を組み合わせて行う。微生物の監視方法として,年間とおしての施設全体の浮遊菌調査は有効であるが,菌種や菌数をあらかじめ推測し培地や採取量を決める必要があること,クリーンな操作に慣れた専門家が作業すべきこと,始業時前に行う必要があるなど,実際の博物館で行うには制約が多い。本報では,微生物の代謝物の二酸化炭素やアンモニアを利用した監視の可能性について,古墳や博物館での事例をもとに述べる。

Key words 室内汚染/微生物/監視/早期検出/文化財保存.