日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 40, No.10 (2012)



表 題 食品による寄生動物感染症[2]
食品媒介寄生虫食中毒の実態と対策-行政の立場から-
著 者 温泉川肇彦(厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室)
掲 載 防菌防黴,Vol.40,No.10,pp.657-663(2012)

寄生虫による疾患は明治以降,重大な疾患として寄生虫病予防法が制定され,その対策が進められてきたが,寄生蠕虫の感染率は戦後の混乱期には7割を超えていた。その後,全国的に集団検便と感染者に駆虫処置を実施すること等により感染率は低下し,平成6年には寄生虫病予防法が廃止されるまで改善した。それに伴い,食品を介する寄生虫症は食品衛生法で対応することとなった。食品を介する寄生虫症は他の寄生虫症と同様に数としては少ないが,様々なものがあり,新興の寄生虫としてクリプトスポリジウム等の原虫によるものや,既存のアニサキス症,旋尾線虫症,寄生蠕虫症等の中にも増加傾向にあるものがある。更に,これまで病因物質が不明として処理されていた有症事例に,Kudoa septempunctataSarcocystis fayeriによる新たな食中毒も発見されており,継続的に寄生虫疾患と食品との関係について正しい知識を普及啓発していく必要があると考えられた。