日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 38, No.9 (2010)



表 題 環境改善による食品の保存技術[3]
粉末アルコールによる食品の保存技術
著 者 斉藤義人(フロイント産業(株)技術開発研究所)
掲 載 防菌防黴,Vol.38,No.9,pp.609-615(2010)

粉末アルコールによる食品の保存は,気体のエタノールを利用する技術である。食品包装内では,食品とヘッドスペースの間でエタノールが平衡状態を保つ。粉末アルコール剤は,エタノールが低濃度で有効であるカビの静菌を目的として利用され,対象食品は水分活性値が0.65~0.90(パン類は0.95)の中間水分食品が主である。粉末アルコール剤の効果を評価するため,培地上でのカビの静菌試験を行った。気中のエタノール濃度は,培地の水分活性値が下がるにしたがって上昇し,カビの生育が抑制された。食品の保存試験にモデル食品として食パン(水分活性値0.96)とカステラ(水分活性値0.88)を選び,カビを表面に接種して初期の状態を一定にした上で試験を行った。その結果,食パン,カステラ共に気中のエタノール濃度が概ね0.5vol.%以下ではカビの生育が見られた。粉末アルコール剤を同封する食品包装にはエタノール透過度として10g/m2/day(40℃)以下のフィルムが一般に好適として使用されている。
Key words Alcohol(アルコール)/Ethanol(エタノール)/Powder(粉末)/Water activity(水分活性値).