日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English
防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 38, No.8 (2010)



表 題 弱酸性次亜塩素酸水溶液の各種芽胞に対する殺菌効果
著 者 小野朋子,山下光治((株)エイチ・エス・ピー 研究開発部),佐藤利夫(島根大学生物資源科学部生態環境科学科)
掲 載 防菌防黴,Vol.38,No.8,pp.509-514(2010)

弱酸性次亜塩素酸水溶液は次亜塩素酸ナトリウムと塩酸を混合して pH5.5~6.5に調整したものである。本研究では3種の異なる芽胞形成菌(Bacillus cereus, Alicyclobacillus acidoterrestris, Clostridium difficile)の芽胞に対する次亜塩素酸水溶液の殺菌効果の検討を行った。次亜塩素酸水溶液の芽胞に対する対数生残率は有効塩素濃度(ppm)と時間(min)の積に対数近似した。pH9の場合の CT 値(99.99%殺菌時)は pH6の場合の4.1~8.1倍となり,pH が6のときに殺菌効果が高い傾向が見られた。また,A. acidoterrestris が次亜塩素酸水溶液に対して高い抵抗性を示した。これらの傾向はポリエチレン,ステンレス鋼および布に芽胞を付着させた場合にも同様であった。弱酸性次亜塩素酸水溶液は食品および医療等の現場において簡易で実用性を有する殺菌剤であることが示された。
Key words Weak acid hypochlorous solution(弱酸性次亜塩素酸水溶液)/Spore(芽胞)/Bactericidal effect(殺菌効果)/Attached spore(付着芽胞菌)/CT value(CT 値).