日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 37, No.8 (2009)



表 題 ペルオキシダーゼを用いた製紙工程におけるカビ臭前駆物質(TCP)の分解
著 者 但馬良一,中嶋一彦,上新原十和(サントリー(株)),宇都宮孝昭,若松 操(レンゴー(株))
掲 載 防菌防黴,Vol.37,No.8,pp.573-579(2009)

カビ臭原因物質2,4,6-Trichloroanisoleは飲料中で極めて官能閾値が低く,食品企業にとって注意を要する物質である。TCAは2,4,6-Trichlorophenol(以下TCP)がある種のカビによってメチル化されて生成することは既に広く知られている。TCPは,木材用防虫剤や防黴剤として使用されており,特に輸入木材から高濃度或いは,高頻度で検出されることが多い。それらの木材が食品用包材のパルプとして高濃度で使用されれば,カビ臭発生源となり得る。日本国内で流通している段ボールなど原紙中のTCP濃度は,高いものもあり,カビ臭発生のリスクが明らかになった。製紙工程でTCPが白水に移行することから,白水中のTCPを分解することが方策になり得ると考えられた。製紙工程における実用可能な方策として,ペルオキシダーゼを用いて,製紙工程中で分解する条件を見出した。
Key words Musty odor(カビ臭)/Paper manufacturing(製紙)/Arthromyces ramosus peroxidase(ペルオキシダーゼ)/TCA/TCP/Decomposition(分解).