日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 36, No.12 (2008)



表 題 滅菌医療機器での微生物試験における菌の同定とその結果の利用
著 者 越川富比古((社)日本アイソトープ協会甲賀研究所)
掲 載 防菌防黴,Vol.36, No.12, pp.843-849(2008)

滅菌医療機器での微生物試験は,製造環境中の微生物汚染レベルを把握する空中浮遊菌測定と滅菌条件設定において基本となる滅菌前製品のバイオバーデン(付着菌数)測定である。これらの試験結果を評価する場合,菌数や菌数の変動などの量的評価と検出菌を同定して解析する質的評価がある。菌の同定は菌を単離し,グラム染色性を調べた後,BBL クリスタル同定システムで行った。同定本来の目的は検出菌がどのような菌であるかを把握することであるが,その利用方法には以下の3通りがある。(1)同定結果はプロファイル番号で表示されるので,この番号が同じであれば,同一の菌である。これを利用すれば,菌の汚染場所等を発見できる。(2)耐熱性,放射線抵抗性などの菌の性質を推定することができる。(3)放射線滅菌での滅菌線量設定手順の中に菌の抵抗性を評価する検定試験があり,この試験に合格しないと滅菌線量が設定できない。同定結果により試料のバイオバーデン構成菌の抵抗性を把握し,検定試験の合否の予測や滅菌線量設定法の選定にも利用できる。
Key words Identification of bacteria(菌の同定)/ Usage of identification results(同定結果の利用)/ Property of Spore-forming bacteria(芽胞形成菌の性質)/ Stearilization dose setting method(滅菌線量設定法)/ Verification experiment(検定試験).