日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 36, No.9 (2008)



表 題 バイオフィルムの形成とその制御・応用・対策[5] 金属系生体材料とバイオフィルム
著 者 首藤文榮(岩手大学地域連携推進センター)
掲 載 防菌防黴,Vol.36, No.9, pp.527-635(2008)

生体材料は,人や動物の組織や器官の細胞に接触して用いられる治療用材料の総称であり,金属系,高分子系,セラミック系,生体高分子系など多くの種類がある。これらの素材は,障害を受けた生体機能を補完するために人工関節,血液循環系ステント,人工歯根,歯冠などの医用デバイス(インプラント)として用いられている。インプラントの表面では,体液中のタンパク質の結合,結合タンパク質への細菌の結合,定着,増殖,組織化の過程を経てバイオフィルムが形成されると考えられる。バイオフィルムは,外部の侵襲を直接受けない構造になっており,殺菌剤や抗生物質に対して強い抵抗性を示す。バイオフィルムが形成されると,細菌の増殖が持続し,重篤な病態に進展する。バイオフィルムの形成を防止するには,材料表面における細菌細胞の付着を防止することが最も重要であり,そのための表面修飾技術の開発が必要である。
Key words バイオフィルム/感染症/血清タンパク質/生体材料/インプラント.