日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 36, No.8 (2008)



表 題 バイオフィルムの形成とその制御 ・ 応用 ・ 対策[4] 微生物間情報伝達とバイオフィルム
著 者 紙野 圭((独)製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部)
掲 載 防菌防黴,Vol.36, No.8, pp.557-564(2008)

私たちの体は,常に体外から刺激を受けている。それ以上に,単細胞である微生物は外界の刺激に対して敏感であると言える。 その“外界刺激に対して敏感”な微生物が, 特に高い密度で存在するバイオフィルムにおいて,微生物同士でやりとりを行っていないと考えるのは非常に不自然である。寧ろ微生物は周囲の同種・異種微生物間で多くのやりとりをしていて,その中には私たちの会話と同じく,化学物質を介した微生物間の情報伝達があると考えるのが自然ではないだろうか。近年このような微生物間情報伝達の存在が知られるようになってきた。一方,外部刺激に対して非常に敏感なはずの微生物も,実際に私たちがコントロールすることは容易ではない。微生物間情報伝達の知見を微生物のコントロールに利用するという考えは,より特異的な新たな制御手法として非常に魅力的であり,大きな可能性を秘めている。本稿では,筆者らの研究例を交えながら,微生物細胞間情報伝達について紹介する。
Key words 情報伝達/クオラムセンシング/化学シグナル.