日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 36, No.8 (2008)



表 題 滅菌バリデーションに於ける損傷菌の回復効果を考慮する必要性
著 者 新谷英晴(元国立医薬品食品衛生研究所),中村勝己(レーベン・ジャパン(株))
掲 載 防菌防黴,Vol.36, No.8, pp.501-511(2008)

出荷直前に医療用品に対して最終滅菌を行い,生物指標の結果から無菌性保証が評価され,文書化され,製品が出荷される。滅菌後に生残する菌は大抵のところ損傷菌である。損傷菌の栄養要求特性は健常菌とは異なる。その意味で,滅菌バリデーションでは損傷菌の生育条件がバリデートされていないと,得られた結果は偽陰性となる可能性が考えられる。滅菌バリデーションでは正しくかつ再現性のある無菌性保証を得ることが重要となる。このことは医療用品の安全性を確保する意味で必須である。損傷菌の生育性能回復に有効な薬剤の評価,損傷菌の迅速な回復,培地メーカー間の変動ならびにロット間の性能の変動を無くすことが再現性のある滅菌バリデーションの確立に重要であり,そのための研究を行った。用いた滅菌方法は湿熱滅菌,乾熱滅菌,エチレンオキサイドガス滅菌,ガンマ線滅菌ならびに電子線滅菌で,それらの滅菌方法に対する最抵抗性菌あるいは生物指標菌の損傷菌を用い,培地に種々の化合物を添加して生育性能の違いを検討した。その結果,滅菌方法が異なっても一貫して,アミノ酸混合物ならびにグルコースの培地への添加が損傷回復に有効であることが判明した。
Key words Sterilization validation(滅菌バリデーション)/ Injured microorganisms(損傷菌)/ Sterility as surance(無菌性保証)/ Auxotrophic characteristics(栄養要求特性)/ Biological indicator(生物指標).