日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 35, No.8 (2007)



表 題 放射線に拠る生分解性高分子の改質とその応用
著 者 吉井文男 ((独)日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所 産学連携推進部)
掲 載 防菌防黴, Vol.35, No.8, pp.507-512 (2007)

植物由来のポリ乳酸とセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロース (CMC) の放射線による橋かけ技術とその応用について開発の現状を紹介する。
ポリ乳酸は単独の照射では, 分解反応が優先して起こるため, 1分子内に二個以上の二重結合を持つ多官能性モノマーを溶融状態で混ぜ照射した結果, トリアリルイソシアヌレート (TAIC) が効果的に橋かけ反応が起こすことを見出し, 耐熱性が改善できた。 橋かけポリ乳酸に可塑剤を含ませると, 柔軟性のあるフィルムやチューブの成形が可能となった。
CMC は, 水に溶解しペースト状照射により橋かけ反応が起き, 自重の400倍も吸水したハイドロゲルになることを見出した。 これは家畜排泄物の堆肥化発酵の水分調整剤に応用できることを15トン規模の試験で実証した。
Key words 放射線 / 橋かけ / ポリ乳酸 / セルロース誘導体 / 資源循環型.