日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 33, No.9 (2005)



表 題 果汁飲料からの耐熱性好酸性菌の分離状況
著 者 古畑勝則,福山正文 (麻布大学・環境保健学部),原 元宣 (麻布大学・獣医学部)
掲 載 防菌防黴, Vol.33, No.9, pp.447-452 (2005)

 市販果汁飲料における耐熱性好酸性菌(TAB)の汚染状況を把握するために,国産果汁飲料208試料および輸・ハ汁飲料162試料の合計370試料について調査を実施したところ,国産試料では9試料(4.3%),輸入試料では19試料(11.7%)からTABが分離された。TABが分離された輸入試料の原産国は,アジア,ヨーロッパ,オセアニア,北アメリカ,南アフリカに分布し,広範囲の国々であった。TABの分離状況を果汁別にみると,国産試料では9試料中3試料がミックスジュースであった。次に多かった果汁はオレンジの2試料で,ほかにアップル,グレープ,グレープフルーツ,パイナップルがそれぞれ1試料ずつであった。また,輸入試料でも19試料のうちミックスジュースが5試料で最も多く,次にオレンジが3試料,グレープ,マンゴー,パイナップルが各2試料であった。このほか,アップル,チェリー,ピーチなどが1試料ずつであった。また,国産試料ではTABが分離された9試料すべてが濃縮還元であり,ストレートからは1試料も分離されなかった。輸入試料でも同様の傾向を示し,19試料中10試料は濃縮還元であり,ストレートでは1試料から分離されたに過ぎなかった。さらに,国産試料では9試料中7試料は紙パックから分離され,他にはカンとペットボトルがそれぞれ1試料であった。輸入試料でも紙パックが8試料で最も多く,次にビンが6試料,ペットボトルが3試料,カンが2試料であった。
Key words Thermotolerant acidophilic bacteria (TAB) (耐熱性好酸性菌)/Fruit juices (果汁飲料)/Contamination (汚染).