日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.12 (2019)

表題:
食にまつわる有害微生物〜原因微生物の基礎から最新の知見まで〜 [5]
黄色ブドウ球菌
著者:
勝瀬明子(東邦大学看護学部 感染制御学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.12,pp.519−525(2019)

Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)はヒトの鼻腔や皮膚における常在菌である一方で,食中毒や化膿性疾患などの様々な疾患の原因菌である。抗菌薬耐性菌であるMRSAは,その登場から数十年を経過した現在においても医療関連感染の主要な抗菌薬耐性菌である。さらに,現在では市中感染型および家畜関連MRSAが医療以外の様々な分野において問題となり,One Healthに基づく分野横断的な取り組みによる制御が必要となってきている。本稿では,本菌のヒトにおける分布と医療環境への伝播,基礎的な細菌学的特徴と本菌による食中毒の発生事例の解説にくわえ,抗菌薬耐性に関連し,抗菌薬耐性菌の検出における注意点,各領域におけるMRSAの現状,抗MRSA薬に対する耐性菌の存在による治療への影響について解説する。

Key words:
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)/MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)/Foodborne disease(食中毒)/Healthcare associated infection(医療関連感染)/Antimicrobial resistance(抗菌薬耐性).