日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.7 (2019)

表題:
金管楽器内で生育するカビの金属耐性(原著論文)
著者:
浜田信夫,佐久間大輔(大阪市立自然史博物館),阿部仁一郎(大阪健康安全基盤研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.7,pp.265−271(2019)

金管楽器では,PurpureocilliumFusariumが多く見られるが,室内環境でよく見られるPenicilliumなどは少ない。金管楽器中のカビ相を制御する環境要因について研究した。楽器を長期間使用すると,Purpureocilliumなどが顕著に増加することが分かった。緑青が古い金管楽器に見られることから,金属イオンがカビの成長に影響する可能性が示唆されたので,金管楽器で多い6株のカビと,住環境から分離された5株のカビについて,金属耐性を比較した。その結果,P. lilacinusF. oxysporumが,室内環境の普通種より銅や亜鉛のイオンに対して耐性があった。また,金管楽器から分離したカビは,銀イオンに対しても耐性があった。一方,一般環境に多い第二鉄とアルミニウムのイオンは,金管楽器から分離したかどうかに関係なく,カビの成長を阻害した。金管楽器に多いカビは,銅,亜鉛,銀の各金属イオンの多い環境に適応していると考えられる。

Key words:
Brass(真ちゅう)/Fungal contamination(カビ汚染)/Metal toxicity(金属毒性)/Purpureocillium/Wind instruments(吹奏楽器).