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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.1 (2019)

表題:
新興・再興感染症[9]
結核
著者:
露口一成(国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター 感染症研究部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.1,pp.7−10(2019)

結核は結核菌Mycobacterium tuberculosisによる感染症である。気道系に病変を有する結核患者から空気感染により伝播するが,感染しても生涯に発病するのは10%程度にとどまる。咳嗽や喀痰などの自覚症状を有し,胸部異常影を呈する時に肺結核を疑うことになる。喀痰などの臨床検体から1コロニーでも結核菌を検出すれば診断確定となる。補助診断法としてインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)による結核感染診断が有用である。現在では標準化学療法によりほぼ治療しうる疾患となったが,イソニアジドとリファンピシンの2剤に耐性を示す多剤耐性結核では治療は困難となる。感染対策としては空気感染対策を行うが,早期診断・早期治療が重要であり,また潜在性結核感染を有する者に積極的に治療を行って活動性結核発病を予防していくことも欠かせない。わが国では現在のところ順調に罹患率は低下傾向にあるが,高蔓延国からの流入による外国人結核の問題が今後ますます問題となってくることが予想される。

Key words:
Mycobacterium tuberculosis(結核菌)/空気感染/Latent tuberculosis infection(LTBI)(潜在性結核感染)/Interferon-gamma releasing assay(IGRA)(インターフェロンガンマ遊離試験)/多剤耐性結核.