日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.7 (2018)

表題:
「ベトナムにおける薬剤耐性菌の現状とその対策」[5]
~地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を通して~
ベトナムにおける抗生物質の使用と政策転換
著者:
住村欣範(大阪大学グローバルイニシアティブ・センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.7,pp.315−319(2018)

ベトナムでは,21世紀以降,経済が急速に発展し,畜産分野の近代化が進むにつれて,人間と畜産の両方の分野における抗生物質の不適切な使用が拡大してきた。この過程で,多剤耐性菌が出現・拡散し,ベトナムだけでなくグローバルな人間の健康に対する脅威となっている。人間に対しては処方箋なしで抗生物質が売られており,家畜に関しては治療,予防,成長促進,保存などの目的で,様々な場面で抗生物質が不適切な形で使用されていることが,具体的な観察とデータ収集によって明らかになった。このような危機的な状況に対し,ベトナムの保健省は,処方箋なしでの抗生物質の販売を禁止する方向で政策転換を行っており,また,農業および農村開発省は,家畜飼料に混ぜて使用する主に成長促進用の抗生物質の使用を制限するに至っている。

Key words:
Antibiotics(抗生物質)/Drug resistance(薬剤耐性)/Vietnam(ベトナム)/Livestock(家畜)/Policy(政策).