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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.7 (2018)

表題:
新興・再興感染症[11]
劇症型溶連菌感染症
著者:
古川恵一(国保旭中央病院 感染症センター長)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.7,pp.309−314(2018)

最近,劇症型溶連菌感染症が増加している,増加の背景には,溶連菌感染者・保菌者の増加,強毒素を持つ溶連菌の増加,また感染のリスクのある高齢者の増加,免疫力低下のある人の増加などの要因が考えられる。大切なことは早期の診断と治療である。皮膚軟部組織感染,産褥期創部感染,化膿性骨関節炎,心内膜炎などで比較的急速に敗血症さらに敗血症性ショックになる場合は劇症型溶連菌感染症を疑う。抗菌薬開始前に,血液培養や浸出液などの培養検査を速やかに行い,溶連菌感染が疑われる場合は,溶連菌をカバーする抗菌薬を,速やかに開始すること。そして起因菌が溶連菌と判明後は,ペニシリンGまたはアンピシリンの大量投与とクリンダマイシンの併用投与を行う。また壊死組織や膿汁があれば早期に壊死組織除去,排膿ドレナージなどの外科的治療を行う。そして全身管理を行う。劇症型溶連菌感染症は複数科の協力体制で速やかに適切な治療を行うことが必要である。

Key words:
劇症型溶連菌感染症/溶連菌/溶連菌感染症/壊死性筋膜炎/敗血症.