日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.4 (2018)

表題:
新興・再興感染症[7]
重症急性呼吸器症候群(SARS),中東呼吸器症候群(MERS)
著者:
中島一敏(大東文化大学 スポーツ・健康科学部健康科学科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.4,pp.153−161(2018)

世界保健機関(WHO)は,1996年,世界は感染症危機に瀕していると警鐘を鳴らした。現実の新興呼吸器感染症が,2002~3年の重症急性呼吸器症候群(SARS)であった。SARSは瞬く間に世界に拡散したが,国際社会が連携して対策にあたった結果,封じ込めることができた。しかし,2012年,アラビア半島で中東呼吸器症候群(MERS)が出現した。MERSは,SARS同様,医療機関におけるアウトブレイクあるが,SARSの高い感染性を特徴づける疫学的特徴を認めず,世界的な拡大は見せていない。しかし,中東では患者発生が続いており,常に国内への侵入に備える必要がある。MERSは2012年の発生以来,感染性,病原性,疫学上の変化は認められないが,ウイルスゲノムは,点変異や遺伝子組み換えによる遺伝子変異を積み重ねている。今後も,世界的な感染症危機管理の課題として,世界が連携して対策にあたる必要がある。

Key words:
SARS(重症急性呼吸器症候群)/MERS(中東呼吸器症候群)/新興感染症/感染症危機管理.