日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.3 (2018)

表題:
「ベトナムにおける薬剤耐性菌の現状とその対策」[2]
~地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を通して~
SATREPSプロジェクト「薬剤耐性細菌発生機構の解明と食品管理における耐性菌モニタリングシステムの開発」の取り組みについて
著者:
山本容正(大阪大学大学院薬学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.3,pp.129−133(2018)

近年世界を震撼させているスーパー(薬剤)耐性菌の出現は難治性の感染症を引き起こし,その背景には医療に限らず畜水産における抗菌剤の濫用が指摘されている。さらに,人および畜水産物の世界的流通拡大に伴いこれらスーパー耐性菌の国境を越えた拡散は地球規模での対応を迫っている。地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムにおける薬剤耐性菌研究プロジェクトでは,このような背景の下,耐性菌検出率が著しく増加しているベトナム社会における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌蔓延実態とその発生(選択誘導)機構の解明を試みた。研究成果を基盤とした新たな食品中の耐性菌・残留抗菌剤モニタリングシステムの構築は,プロジェクト成果を社会実装する具体例として実施した。ベトナムの地域を代表する5つの研究機関が本プロジェクトに参加することにより,耐性菌の拡がりが地域特有の現象であるか否かの検討と,耐性菌の詳細な微生物学的解析により地域における耐性菌発生の質的検討を行った。加えて,食材生産流通過程における耐性菌をモニタリングすることにより,耐性菌蔓延要因の炙り出しとそれに対する具体的対策や防止へと繋げた。本稿では,これら多岐にわたる成果の詳細は今後のシリーズに譲り,プロジェクト全体の概要を示した。

Key words:
薬剤耐性細菌/食品/抗生物質/ベトナム/住民/SATREPS.