日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.9 (2017)

表題:
食品工場における食品防御(フードディフェンス)の考え方と業界動向[10] グローバル企業における食品防御(フードディフェンス)の実例
著者:
広田鉄磨(関西大学 化学生命工学部 特任教授)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.9,pp.445−452(2017)

さまざまな食品防御の手法が運用されているという印象があるかもしれないが,グローバルには英国のPAS96,WHO(世界保健機構)による食品テロ対策のあり方を示す文書,アメリカのFSMA「ヒト向け食品に関する現行適正製造規範ならびに危害分析およびリスクに応じた予防管理」規則,そして日本の厚生労働省科学研究事業成果物の4グループに大別される。PAS96には賛同者が少なく,改訂を実施したにもかかわらず,いまだ普遍性を持ちえていない。WHO文書ではテロ被害からの立ち上がりのほうに重点が置かれ,事業者として参考にする箇所があまりにも少ない。一方で日本の厚生労働省科学研究事業成果物は,公開当時には社会的な実証実験という観点からは非常に意欲的な内容ではあったものの,その後,現実的な路線を模索するアメリカFSMAの変貌を反映できないままに留保されており,実効性という点での不安を生じ始めている。世界を見渡すと,グローバル企業といわれるものは現実路線の採用に踏み切っており,事業者という立場でとれる食品防御対策の限界性の認識が深まっていることと,かつ,食品テロといった重大事件の起きる確率は非常に低く,過剰な対策は費用対効果の観点よりは容認しがたいものであるというコンセンサスが形成されつつあるように見える。今回,この稿の上梓を機会に日本での食品防御のあるべき姿を模索してみたい。

Key words:
PAS96/厚生労働省科学研究事業成果物/WHO/FSMA.