日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.8 (2017)

表題:
管楽器におけるカビ汚染の対策(原著論文)
著者:
浜田信夫(大阪市立自然史博物館)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.8,pp.385−391(2017)

管楽器内部にスライム状の汚れが見られる場合は,カビだけでなく多くの細菌や酵母による汚染も見られた。また,カビによる汚れは,管楽器の使用者によって漠然と認識されていることが分かった。管楽器の使用頻度が高い場合ほど,カビ汚染の多い傾向が見られ,演奏中に出る唾液などの水分要因が楽器内のカビ汚染を助長していることが窺われた。特に,金管楽器では,内部の掃除をほとんど行わない場合に,とりわけ中高生の楽器に汚染が多く見られた。掃除をする頻度が週一回以上と月一回以下の場合では,カビ数が10倍近く異なり,掃除の有効性が確認された。スワブでふき取るだけの簡単な掃除でも,毎回するのが重要であることが分かった。また,管楽器を保管する時には,その内部をできるだけ乾燥するように工夫することが汚染予防に重要であると思われる。

Key words:
Fungal contamination(カビ汚染)/Wind instruments(管楽器)/Hydrophilic fungi(好湿性カビ)/Cleaning(掃除)/Moisture(水分).