Vol.44，No.5 (2016)

表題：

微生物試験迅速化技術の現状と展望[7] 遺伝子組換えファージを用いた大腸菌の特異的迅速検出

著者：

中崎清彦（東京工業大学大学院）

掲載：

日本防菌防黴学会誌，Vol.44，No.5，pp.247−253（2016）

大腸菌を正確・迅速・簡便に検出するために，遺伝子組換えファージを用いた新しい方法を開発した。大腸菌としては，E. coli K12，およびE. coli O157：H7の2種類を，また，ファージとしては，それぞれに選択的に感染するT4，およびPP01を用いた。これらのファージにS. cerevisiae IAM 4178由来のチトクロムcペルオキシダーゼ遺伝子を相同組換えの手法で導入した。大腸菌に遺伝子組換えファージが感染することによって生成される酵素に，基質としてチトクロムcを添加し，酸化反応の結果生じる赤色から黄色への変化を測定することで，大腸菌を検出することができた。さらに，このファージを用いた検出法と，従来から微生物濃度を定量するために用いられてきたMPN法を組み合わせることで，サンプル中の大腸菌濃度を定量可能であることを確かめた。

Key words：

Cytochrome c peroxidase（チトクロムcパーオキシダーゼ）/Recombinant phage（組換えファージ）/Escherichia coli（大腸菌）/Colorimetric detection（比色検出）/Most probable number（最確数）.