日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.11 (2015)

表題:
食品製造機器の衛生構造の評価のための簡易試験用汚れの調製(原著論文)
著者:
浦野博水(岡山県工業技術センター),大村宏之((一社)日本食品機械工業会),福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.11,pp.515−519(2015)

機器の衛生構造を評価するために用いる簡易な試験用汚れの成分として,タンニン酸と乳タンパク質(低脂肪加工乳,β-ラクトグロブリン,カゼインナトリウム)の組み合わせを主要成分として選んだ。この混合物をステンレス鋼表面に塗布し,40~140℃の温度で加熱処理することにより溶解度と離脱性を制御した。浸漬洗浄後の残存量の測定には,拭き取り法とタンパク質定量法を用いた。乳タンパク質のうち,高温で加熱したカゼインナトリウム/タンニン酸の混合汚れが,洗浄力の不足を残存量として反映するうえで,最も簡単な組成で適した汚れであった。さらに,ポリフェノール系色素であるクルクミンを混合汚れに添加することにより,タンパク質定量法で測定した残存量と分光法で測定した残存量に良好な相関性が得られた。カゼインナトリウム/タンニン酸の加熱混合汚れは,機器の洗浄性を評価するための試験手法における試験用汚れとして利用できると考えられる。

Key words:
Test soiling material(試験用汚れ)/Sodium caseinate(カゼインナトリウム)/Tannic acid(タンニン酸)/Curcumin(クルクミン)/Swab method(拭き取り法).