接合部の腐朽が木質系住宅の耐久性能に与える影響について,最新の研究成果をもとに解説した。接合部の腐朽と住宅の耐久性との関係は,腐朽による木材・木質材料そのものの性能低下と接合部材の性能低下の両者による複雑な相互作用である。既往の研究結果から,接合金物の結露が接合部の木材・木質材料における腐朽を誘発・促進する可能性が強く示唆されている。現在実大材を用いた種々の試験データが蓄積されつつあり,住宅における木材腐朽菌類生態学の構築,そして定量的な腐朽リスクモデルの構築によって,多数の接合部が存在する住宅の耐久性能が正しく評価され,良質で長寿命な木質系住宅の普及につながることが期待される。また,現場での腐朽検査・診断法に関しても技術革新が進行しつつあり,近い将来,簡易かつ信頼性の高い木質系住宅の維持・管理システムが構築されることは間違いない。