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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.7 (2013)

表題:
多環芳香族炭化水素類から見た最近の東アジアのPM2.5問題
著者:
早川和一(金沢大学医薬保健研究域薬学系)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.7,pp.409-410(2013)

今年大きな関心事になった中国北京市のPM2.5と日本への長距離輸送の影響について,著者の多環芳香族炭化水素(PAH)及びニトロ多環芳香族炭化水素(NPAH)に関する最近の研究結果から見ると,現状と課題について次のことが明らかになった。1)都市大気中PAH,NPAH濃度は,中国>ロシア>韓国,日本。中国の濃度は著しく高い。2)主要排出源は,日本及び韓国は自動車であるが,中国は石炭燃焼施設。中国,ロシアの都市の中には両者の混合型も見られる。3)日本の都市大気中PAH,NPAH濃度は低下傾向。自動車排ガス粉じん規制が大きく効果。4)中国,ロシアでは,増加傾向を示す都市もある。産業・経済成長だけでなく,国際的イベントも要因の一つである。5)PAH,NPAHから見ると,東アジアの大気環境は激しく変化しており,正確な予測と適切な対策には,国際共同モニタリングは重要である。

Key words:
PM2.5/東アジア/多環芳香族炭化水素/ニトロ多環芳香族炭化水素.