日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 40, No.8 (2012)



表 題 細菌の環境認識と適応[1] 細菌芽胞の形成と発芽
著 者 渡部一仁(摂南大学・薬学部)
掲 載 防菌防黴,Vol.40,No.8,pp.535-545(2012)

バシラス属などの芽胞形成細菌は,生育環境中の栄養分が枯渇するとその情報が菌体に伝わり,芽胞を形成する。芽胞は休眠状態にあり,劣悪な環境中でも長期間にわたり生存して生命の維持を図る。しかし,ひとたび栄養分と接触すると,直ちに発芽して栄養増殖へ移行し,生命活動を再開する。
栄養分の枯渇などの情報は,細胞内の伝達系を介して芽胞形成関連遺伝子の発現を調節し,芽胞が形成される。シグナル伝達系として"リン酸基リレー",遺伝子群の発現調節系として"シグマカスケード"が機能している。
芽胞は栄養分と接触すると速やかに発芽が誘導され,栄養細胞に復帰する。外的環境の好転は,Gerレセプタータンパク質によって感知される。

Key words 芽胞形成/発芽/リン酸基リレー/シグナル伝達/シグマカスケード/Gerレセプタータンパク質.