表 題 | : | 文化財の生物被害の現状と対策[3] カビによる文化財被害の現状と対策 |
著 者 | : | 久米田裕子(大阪府立公衆衛生研究所・感染症部) |
掲 載 | : | 防菌防黴,Vol.40,No.7,pp.449-457(2012) |
今日では,カビによる文化財の劣化が大きな問題となっている。美術館・博物館では貴重な芸術品や文化財が深刻なカビ被害の危険性にさらされている。また,屋外環境では石材で築かれた歴史的建造物や彫刻がカビによる劣化で浸食されている。旺盛な酵素活性力と低い水分活性でも発育可能であるカビは,どこにでも発育できて,絵画,織物,紙,羊皮紙,皮革,油,カゼイン,接着剤,石,岩など文化財によく使用されている種々の素材を劣化させる。本稿では,特に先進国であるヨーロッパにおける文化財のカビ被害の現状とその取り組みについて紹介したい。
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