日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 38, No.2 (2010)



表 題 レジオネラ症のリスクマネジメント[3] レジオネラ属菌の生息状況
著 者 古畑勝則(麻布大学)
掲 載 防菌防黴,Vol.38,No.2,pp.121-129(2010)

我国の土壌および温泉水におけるレジオネラ属菌の生息状況をまとめた。表層土壌では1,362試料中86試料(6.3%)から分離され,分離率は低いものの北海道から九州・沖縄まで全国に生息していることが明らかになった。月別の分離状況では,6月を除く各月から分離され,3月,9月,10月,12月に比較的高率に分離された。分離菌種はL. pneumophilaが最も多く,なかでも血清群1群に該当した分離株が多かった。
また,温泉水では,全国各地の710試料中204試料(28.7%)から分離され,47都道府県すべての温泉水に生息していることが判明した。内湯と露天の比較では,露天における分離率の方がわずかに低率であった。また,循環式とかけ流しでは,両者の分離率に顕著な差は認められなかった。本菌は弱酸性または中性の温泉水から高率に分離された。温泉水においても最も高頻度に同定された菌種はL. pneumophilaであり,血清群1群が多かった。以上のように,レジオネラ属菌は環境常在菌であることが確認され,水環境においてはレジオネラ症の発生防止を目的に持続的な衛生管理が必要である。
Key words Legionella spp.(レジオネラ属菌)/Distribution(分布).