日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 34, No.7 (2006)



表 題 Bacillus cereus 胞子に対する過酢酸製剤の殺菌特性
著 者 岡野哲也, 岩崎慎也, 松尾 登, 田村 成 (花王(株))
掲 載 防菌防黴, Vol.34, No.7, pp.397-400 (2006)

 近年, 高い殺菌消毒効果と高い安全性を両立した殺菌消毒剤として使用場面が増加している過酢酸製剤について, Bacillus 属胞子に対する殺菌特性を検討した。 過酢酸製剤は過酢酸, 過酸化水素, 酢酸, 水からなる化学平衡で安定性を維持しているが, この平衡要素中の過酸化水素含有比率がセレウス菌胞子の過酢酸製剤感受性に大きな影響を与えることが判った。 即ち, 過酸化水素含有比率の高い過酢酸製剤はセレウス菌胞子に対して十分な殺菌効果 (6-log reduction of spores) を発現させるために高濃度かつ長時間の接触条件が必要であるが, 過酸化水素含有比率の低い過酢酸製剤は低濃度かつ短時間の接触条件でも高い殺菌効果を発現した。 過酸化水素をほとんど含有しない過酢酸製剤も, 過酸化水素を添加するにともなってセレウス胞子に対する殺菌効果の低下が認められることから, 過酸化水素が過酢酸の殺菌効果を低下させる原因物質であると考えられた。
Key words Bacillus cereus (バチルス セレウス)/Bacterial spore (細菌胞子)/Bactericidal properties (殺菌特性)/Peracetic acid (過酢酸)/Hydrogen peroxide (過酸化水素).